盆栽講座:はじめての盆栽:「黒松」培養のポイント home
はじめての盆栽
2.1 「黒松」培養のポイントは4つ
 黒松は現在、盆栽樹種の中でトップクラスの人気を保っています。しかし盆栽熱が異様に燃えさかった明治時代は、黒松は人気が超々絶大な錦松の陰にすっかり隠れていて・・・そればかりかその後も昭和の前半までは長いこと、全くといっていいほど重要視されないマイナーな盆栽樹種でした。
 ところが昭和30年代以降、黒松の弱点であった、黒松の長すぎる葉を、半分にも1/4の長さにでも短くする培養技術(専門家・趣味家はこの技術を「黒松の短葉法」といっています)が確立され、その技術によって作り出された作品群がどっと世に出ると、今までまるで人気の出なかった黒松が、一躍盆栽界No.1といっていいほどの人気樹種に躍り出たのです。黒松の身に訪れたその劇的な変化は、まさに‘みにくいアヒルの子’そのものであったといってよいでしょう。

 さて、この黒松の長い葉をハサミでちょん切るのではなく、自然にそして大々的に短くするには、年間を通して4つのポイント・・・技術を加える必要があります。関東地方を標準にそれを述べますと
ミドリ摘み
  4月下旬〜5月上旬にスゥーッと伸びた黒松の新芽(これを庭木・盆栽界では「ミドリ」と呼ぶ)のうち、特に強く長く伸びたミドリを、平均的に伸びたミドリの1/3位の長さに先を指で折り取る。これは必ず指で折れるうちに行う。さらにやや強く伸びたミドリは、半分の長さに折る。平均的な長さのミドリは折らないが、先をほんの少し折る人もいる。少ししか伸びていないミドリは折らないでおく。これである程度その後の枝先(芽元)の生長力を平均化したことになる。
芽切り
  6月上旬〜7月上旬に、残したミドリが新葉を展開させて固まった今年の新芽(軟らかい新枝)を、今度はなんとその基部でハサミでスパンと切り落とす。つまり新葉は全く消失してしまい、直後は去年の葉の最先端部がまさに再び最先端部となる。例外として、枝懐のごく弱々しい芽などは、芽切りをしないでそのまま新葉を残して力をつけさせる。
芽かき
  芽切り後1〜2週間すると、残した枝先最先端部にやや赤っぽい小さな2番芽が、肥料のよく効いた木だと、多い枝先には4〜5芽吹き出す。肥料不足の木だと3〜4芽となったり、1〜2芽になることもあるが・・・。
この各枝先に吹いた2番芽を、今度は7月下旬〜8月上旬に各枝先とも左右水平となる2芽だけを残して、他の上向きや下向きの芽をピンセットで掻き取る。また水平に伸びる2芽残しが原則だが、強い枝ほど強い2番芽を掻き取り、弱い枝ほど強い2番芽を残すというのが大切な大切なコツである。
葉抜き
  12月上旬〜2月上旬に古葉すべてをピンセットで抜き、さらに新葉も強い枝先は新葉を先端3〜5対残して抜き、中位の枝先は同6〜8対残して抜く。弱い枝先はそのまま新葉を残す。
 以上が黒松の短葉法、年間ローテーションです。

 この一連の作業を3年も続けると小枝は驚くほど増え、枝数葉量とも大々的にボリュームアップするため、その後は毎年の整枝剪定作業が必要となります。同時にこの頃よりあなたの黒松はビシッと短い葉の揃った佳品へと出世し、それがさらに数年の丹精で誰もがうらやましがる自慢の一鉢・・・佳品から名品へと昇華していくのです。

 なお短葉法を施す黒松は、培養中は肥培を続けることが大切です。他にも各種の注意点があるので、本格的に黒松盆栽を育てようとする人は(株)近代出版の「黒松の育て方」や、私もタッチしている同社の「近代盆栽」や「山野草とミニ盆栽」という雑誌を参考にしてください。

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