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第13回
現在流行中の苔玉 ─ まともな商品・そうとも言えない商品
 今年の春ごろから小さな植物の根を苔で包んだ、いわゆる「苔玉」という作品・・・商品が、各地の園芸店、ホームセンター、花屋さん、駅のショップ店で並べられるようになりました。またそれらは爆発的とは言わないまでも、かなりの威勢で人々に買い求められるという現象を引き起こし、そのCMや意図的なキャンペ―ンも無しに広がった現象は、多分来年度以降も続くであろうと予想されもいたします。

ヤブコウジの苔玉
 その理由は当の苔玉が、どれもが掌に乗るほどコンパクトで、見た目もグリーンが美しく可愛らしく、その上値段も手頃で置き場所も取らず、おまけに管理も時々水をやる位でよさそうだしということで、「よし、それじゃひとつ買ってみるか!」と・・・多分苔玉はアッという間に人々に受け入れられたのでしょう。またしばらく続いているガーデニングブームの中、パンジーやノースポールやビオラなど既に見飽きた定番もの以外として、苔玉は和風インテリア感覚をくすぐり、呼び覚ます絶妙のタイミングで世に出たものとも考えられます。
 しかしこの小さいながらも・・・いや小さいからこそ余計に人の心を捉え癒してもくれる苔玉にも、実は大きな大きな問題が隠されているのです。それは、あなたが購入なさった苔玉が正真正銘まっ正直な作り方をなされたものか、あるいは「本当にこんなんでいいの?」というほどお手軽インスタントに作られたものであるのかという問題です。こう言えば何も知らない人でも、苔玉は正真正銘まっ正直な作り方をしたものの方がいいに決まっていると、理解したくなくても理解してしまうのですが、まず「まっ正直苔玉」と「インスタント苔玉」とでは、何が違うのか、そこのところをお知らせしておきましょう。

まっ正直苔玉とは?

トウキの苔玉
 まっ正直の方は苔玉といっても、立派な立派な山野草・観葉植物等の造形作品です。つまり作品が乾き出して水を欲しがったら、すかさずペットの犬や猫に新鮮な水を与えるように水を与え続けると、まっ正直苔玉はまっ正直に何年でも生き永らえ、それどころか、光の当て方、風の当て方、肥料の与え方、剪定の仕方が適切だと、年毎に作品として面白味、渋さ、時には時の重みさえ加わって行く「私の作品」となるのです。
 苔玉が丸1年生き続け、それが2年・3年と生き続けるようになると、それはもう単なる「私の作品」どころではありません。それこそ下手なつれ合いなんかよりよっぽど大切な「わたしの切っても切れないパートナー」にさえ変身してしまうのです。

インスタント苔玉とは?
 一方インスタント君は、苔に根を包まれた植物が水切れでクターとしてきたら、すかさず水をたっぷり与えると、運が良いとまたみずみずしく元気になってしばらく生命を維持してくれます。でもこのクターとし水やり復活する回数も、そうは長くカウントすることはできません。水さえ与えれば丈夫に育つ一部観葉植物でも、半年以上、丸1年を生かせ続けるのは至難の技でしょう。インスタント苔玉は、安さも安いが一時の小インテリアとして作られるからです。

 以上苔玉には永続可能型と短命型とがあることをご承知おき願ったところで、最後はこの両者の識別の仕方をお知らせいたします。

まっ正直とインスタントの見分け方

タマスダレの苔玉
 まず永続可能まっ正直苔玉は、植物の根が「ケト土」という粘土質の土ですっぽりくるまれ、その表面は生きたコケで覆われています。つまり鉢こそありませんが、鉢に植えられたのと同じように、植物の根は栄養分の豊富なケト土でしっかり包まれいるのです。ですから管理(冬場でも日中はガラス越しの日を時々当ててやります)が適切なら、実例として十数年以上も生き続けている例さえままあるのです。
 一方インスタント短命型は、ケト土を用いないで植物の根をたいてい水苔だけでぐるぐると包んでいるだけです。従って植物は水苔が湿っている限り生け花のように行き続けますが、長期間の生命維持、生長は困難となります。お店で品物をつまみ上げた時、インスタント苔玉はとっても軽いことでも識別できます。

※正真正銘の苔玉の作り方は「分野別・山野草講座:草玉盆栽の作り方」をご覧ください。
また「山野草とミニ盆栽」という雑誌の'04年2月号に苔玉の詳しい作り方や作品例が掲載されます。執筆者は私です。

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