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第16回
梅盆栽 短枝開花のための三つの方法
(その3)梅の二番枝開花法
 ここまでに述べてきた「梅の土用干し」と「花後の枝詰め」は、鎌倉時代や江戸時代の盆栽人も行ってきた仕立て法、盆栽仕立ての古典技法であったかも知れません。しかしこれから述べる方法は、詳しい文献が無いので(本気で捜さないだけなのですが)、いったいいつ頃確立された技法か不明なのですが、これから梅を鉢物として、盆栽として仕立てていこうかという人にとっては、夢のような革新的な技術です。題して「夢の梅の短枝開花法」。じっくりとお読み下さい。

手持ちの梅の盆栽は、花後に葉芽一芽もしくは二芽残しですべての枝を切り詰める。

梅は3〜4年に一度は根を切って新しい用土で植え替えたいので、植え替え年になっている梅は、3月中旬、雪国なら4月上旬など新芽が伸びだす寸前までになるべく根を短く切って植え替えておく。新葉が展開を始めたら植え替えは行ってはならない。

植え替え年でない梅の鉢は、3月下旬に置き肥をし、芽出し用の水肥も与える。当方法は「肥倍」とセットになっているので、3月下旬〜6月いっぱいは肥効を持続させる。

春になって新芽が伸びてきたら、初期は枝に力をつけるため、葉がしおれないように多目に水を与える。肥料も毎日の水やりで溶けて、梅の体力をどんどんつけてくれる。新芽が伸びて来たら太陽と風にはガンガン当てて育てる。

太くて長く伸びる新梢が15cmを超えたら(5月中旬ごろか)、その太く長い新梢は一番枝元の新葉を一葉残して切り詰める。他の中位の枝は葉を二枚残して切り詰める(肥料が効いていれば太い枝も中位の枝も葉一枚残して切っても構わない)。

ごく細く伸びる枝があれば、それは切らないでそのまま伸ばしておく(10〜15cmで自然に伸び止まってくれれば最高だが、たいていはもっと長く伸びる。しかし無理に切り詰めない。最高級の奥の手のテクニックがこのような枝の6月早々の「芽つぶし」とか「半殺し」といわれるテクニックなのだが、これらについてはまた機会を改めて述べられたら述べる)。

このように5月中に一番芽をほぼすべて新葉一枚残しで切ると、やがて15〜20日もすると残した葉の付け根から二番芽が伸びてくる。

この二番芽が伸びだしたころから、いよいよ水を辛くしていく。可哀想だが二番芽新梢が水気が足りなくてクタッーとしたら水をたっぷりやる。

それでも肥料の効いた梅は二番芽を日ごとに伸ばしていく。葉が5枚・10枚・15枚となっていくが水は我慢して、午後一回たっぷりやるように誘導していく。

梅雨の長雨には当てない。今日は雨が降って、水やりがなくて楽だ、なんて人にはこの方法は全く向いていないので、さつきや柳など、他の水好きの樹種に栽培転向することをお勧めする。

こうしていると、梅の葉は、くるくると丸まってくる。こうなると花芽の形成がかなり進んでいる証拠である。花芽形成より早く、よく梅の葉がくるくる異様に汚れて丸まっている庭木などを春〜初夏に見ることがあるが、あれは花芽形成ではなくて「アブラムシの吸汁害」である。梅をはじめとする特に肥料好きの植物は、その肥料好きと比例するかの様にアブラムシが多く発生するので、気をつける前の常識として気をつけてほしい。

土用が明ける頃には、梅のすべての葉は下向きに丸まり、そっとその葉を指で擦ると、葉は軟毛が無くなってつるつるになっている。この梅の葉の表面のごく細かい毛が無くなるのも、花芽形成完了の最終徴候ではあるが、こんなこと確かめるまでもなく、葉が丸まってりゃ花芽はばっちり一個、二個、各葉柄部に形成されている。

土用すぎたら、もう梅の花芽形成は完成しているので、これ以上梅を水不足で苦しめない。以後の水は、午前と午後、鉢土の表面が乾き出したら、たっぷりとやって梅の体力消耗を防止する。

秋となり、梅が落葉したら、自分の好みの樹形、枝の長さ、輪郭線に枝を切り込み、あとはひたすら早春の梅の開花を待つ。

 以上ここまで一気に書き上げたのが現代的な「梅の短枝開花法」です。他に言及しきれない細かいことが様々あるものの、まずはこの通りに梅を栽培していけば、皆様の梅は、その品種ごとに正月に、早春に、香り豊かな白梅・紅梅を咲かせ続けていってくれるでしょう。私ももう長いこと梅とは付き合ってきましたが、梅はまんず生命力の強い樹種ではあります。ですのでどうしたらこんな結論に結びつくのか、我ながらあきれてしまうのですが、ちょっとは「昔は鶯鳴かせたこともある」と自慢させていただいてもよいのではないでしょうか。梅より鶯の鳴かせ方の方が知りたいという人にはその内各方面のご承認、ご了解を得た上で、ロケーションは熱海がいい、いや上高地のシラビソ林の奥深くの方がもっといいとやらかしたいのですが、誰一人としてのって来なかったりして…。やはり真面目に梅の事について書いている方が無難ですね。

 次は「梅の植え替え方」について書きます。3月中が梅の植え替えの最適期ですので、ちょうど間に合うでしょう。どうかお楽しみに。

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