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第17回
新・風姿花伝
― 人は何故植物を枯らし続けるのか −
― 鉢花・山野草を枯らさないための秘伝公開 ―
【プロローグ】
1.人間というものは

 人間というものは、基本的には「ものを食い・恋をし・老化し・死んでいく」ものといってよいであろう。そしてその途上で、ある人は金儲けに目覚め、ある人は格闘技に燃え、ある人は名の売れることを願い、ある人は端から中流で妥協し、一部は豊乳美顔整形などに束の間の夢を託し、少なからぬ人が晴耕雨読だ、田舎暮らしだので塵界からの離脱を夢想したりして、まさにこの世は各人各様、光陰矢の如き生き様を展開しているのである。

 だとしたらお前はどうなのか。ものを食い、恋をし、老化し始め、そろそろ棺桶に片足をひっかけ、もう少しするとエンヤコラと反動をつけてその中に身ぐるみ突っ込もうとしているお前は…と。植物学者としても花の 「葉根説」を説いて名高いゲーテなら、ここですかさず悪魔のメフィストフェレスを登場させるところである。しかし私は、これまで自分にこれといったとび抜けた才能が見つからなかったために、人に誉められることもなく、 かといって宮澤賢冶のいうように、人から木偶の坊と笑われるにはちと気取りが邪魔をし、要するに恙無(つつがな)く、現在六十一歳までを自動車に三度ばかり?飛ばされ、そのたびに脳内出血の人事不省に陥ったり、 1ヶ月近く松葉杖生活を送ったり、最後は…最後にしたいのだが、4、5本の肋骨をへし折られたりしながらも、なんとか年毎の大晦(おおつごもり)を支払の居催促、強催促に悩まされることもなく、無事現在に至っている。 まあこれを要約すれば私の人生なんて「沈香も焚かず屁もひらず」のようなものであったのだ。

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