香りのコラム:香りの写真館

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第一回 香りのバラ  
   香料を採取するために栽培されているバラはダマセナ種とセンティフォリア種の2種類のみである。両種とも極めて原種に近く、花の華やかさや大きさなどでは現代の園芸品種に及ばないが、香りの面では圧倒的に優れている。
 四季咲きではなく、年に一度5月中旬から6月中旬に咲く。




rosa damascena ダマスクローズ、ダマセナ種と称されるもの
香料名 Rose Oil 又は Otto Rose
 ブルガリアで栽培され現在ではモロッコ、トルコなどでも香料用に栽培が行われている。ピンクの色をした直径5〜6センチの花で花弁が20〜30枚で花が1枝に5花つく。ダマスからトルコ商人が持ち込んだ品種なのでこの名がある。
樹高は1.5から2メートルになる。
ダマセナ種 ブルガリア
 畑に咲いているこのバラの香りは表現しがたいほど素晴らしい。 柑橘類を思わせるさわやかな匂いとバラのふくよかな香りが微妙に入り交じり非常に強く心地好い。(香りのある風景 第三回 をご参照ください。)
ブルガリア カザンリクの畑
 水蒸気蒸留法で精油が採取される。
花を釜に入れ水をそそぎ加熱する。湯気すなわち水蒸気が花の香り(油)を運び出す。この香料はローズオイルとかオットーローズ(オットーはトルコ語で水の意)という。収率が非常に悪く(大量の花からほんの少しの精油しか採れない)この天然精油が高価である原因となっている。女性用の高級な香水やオードトワレになくてはならない香料で少量でも調合香料全体を際立たせ芳醇な香りにしてくれる。
ブルガリア カザンリクの蒸留所

 蒸留の際使われた水には花精油の一部であるフェニールエチールアルコールが溶け込みほのかにバラの香りがする。これが「ローズ・ウォーター」で昔から化粧水としてヨーロッパでは愛用されてきた。




rosa centiforia プロヴァンスローズ、センチフォリア種と称されるもの
香料名 Rose Absolute 又は Rose de Mai
 南フランス、グラース(Grasse)近郊で栽培されている。花はダマセナ種と同じくらいの大きさで色と形がそっくりで、見ただけではなかなか区別がつかない。決め手は鼻である。咲いている花の香りはダマセナ種より弱い。樹高は1メートル位。花弁が100枚前後あるのでこの名がついた(centは100枚、foliaは花弁の意)。手のひらに乗せると重たく感じるほど花弁の多い花である。
センチフォリア種
 南フランスでの生産量は労働コストや地代の上昇とともに年々減少している。主な生産地はトルコ、モロッコなどである。
 バラ独特の香りがする。ローズオイルのようなさわやかさではなく、どちらかというとバラの香りの重たい部分が特徴的に香る香料である。ジャスミンの香りとの相性がよく、これにスズランの香りを加え、調香師は三大フローラル(三種類の重要な花の香り)として頻繁に使用する。またバラの印象をトップから最後の残り香まで続けたい時にローズオイルとローズアブソリュート両方を使う。
南仏 グラース
 溶剤抽出法で香料を採る。溶剤としてヘキサンを使い花の香りの成分を溶剤に吸収させる。溶剤抽出法で抽出された香料はオイルとは呼ばずアブソリュートと言う。
抽出釜に入れる




 ブルガリアやモロッコ等のダマスクローズの生産地での全ての花を水蒸気蒸留しオイルにするのではなく、収率の良い溶剤抽出法でアブソリュートを作っている場合もある。



島崎直樹 プロフィール

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