花と緑の資格と仕事
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ハーブ
古くヨーロッパでは薬用になる植物のことを「ハーブ」と呼んでいましたが、これは東洋の本草にあたります。今はその中で、花や葉の香りや味を楽しむものをハーブと称し、ひろく親しまれています。昨今、日本でも庭やプランターに植えて楽しむ方が増えています。
しかし、多品種のハーブの特性や栽培・利用方法に関する確かな技術や知識を持った指導者はまだまだ不足しています。今後、ハーブがもっと家庭に普及すれば、その香りと味を楽しむ方法と立派に育てる方法の両面をしっかりと指導できる人材が求められるようになるでしょう。

アロマテラピー
芳香(Aroma)と療法(Therapy)を合わせて言い表されているように、植物の芳香成分を抽出・精製した精油(エッセンシャルオイル)を用いて、心身両面をリラックス・リフレッシュさせようとするものです。
森林浴をすると気分がスーッとしたり、好きな食べ物の香りを嗅ぐとお腹が空いたりすることがあると思います。アロマテラピーでもこれと同じように、いくつもの香りの内、ストレスを解きほぐしたり疲れを癒したりする効用のある香りを用いて、心身をリラックスさせ、肉体に良い影響を与えようとします。
昨今、多くの人がアロマテラピーに興味を持ち、エッセンシャルオイルを取り扱う花屋さんが増えてきましたが、しっかりした知識を持った人はまだまだ不足しがちです。今後は、これについての専門的な知識を持った人材・指導者が求められてくるでしょう。

ホルトセラピー(園芸療法、ホルティカルチュラル・セラピー)
植物を育てていると、知らず知らずの内に手や指、脚を動かしていますし、いつのまにか心が穏やかになってきたりします。園芸作業や花・緑・植物のこうした効用によって、社会活動にハンデのある高齢の方、身体や精神に障害のある方などの心と身体のリハビリやコミュニケーション能力の回復を図ろうとするのが園芸療法です。
第二次世界大戦後のアメリカにおいて、帰還兵のリハビリを目的として始められたこの作業療法は欧米ではすっかり定着し、昨今日本にも導入されつつあります。現在のところ、日本では理論と実践を兼ね備えた人は少ないですが、近い将来の社会では必ず必要になってきます。

ビオトープ
もともとそこにある自然の生態系を大切にして、そこにあるべき自然を再現するという考え方が、今日、日本で使われているビオトープの概念です。
例えば、ある小学校の校庭に、その地域で育っている(いた)植物が植えられ、その地域で生育している(いた)昆虫や水棲生物が放たれ、時間をかけて本来あったであろう自然の姿が再現されていく。こうしたことを指して、ビオトープを作る、というように言われることが多くなっています。
ここでは当然、地域の植生を含めた植物の生育の仕方に精通し、昆虫などの小動物の知識なども要求されるため、単に池を作り植物を植える以上に広範な知識と技術が要求されます。至る所で自然が破壊されている今日では、自然の修復、豊かな環境の創造という観点から、今後は注目を集めていくことでしょう。

グリーンツーリズム
経済活動などに疲れた都市生活者が、豊かな自然を求めて農家に宿泊し、自然と親しむことが増えてきました。また、必ずしも宿泊せずとも、休耕田を利用した一坪農園で野菜栽培を楽しんだり、漁協の実施する体験漁業を楽しむ人も増えています。
このように、都市部の生活者が豊かな自然環境の中で農山漁村部の生活者と交流し、自然体験や余暇活動をすることによって「ふるさと回帰」すると同時に、地域社会に、経済的なものを含めて地域の活性化などのメリットをもたらすことを今日ではグリーンツーリズムと呼んでいます。 都市部において豊かな自然を満喫することがほとんど不可能になった今日、こうした農村などでの滞在型の余暇活動は今後ますます盛んになってきますが、受入れ先の農山魚村部の人材不足で地域リーダーの育成が強く求められています。

自然体験
欧米各国では20世紀始めに自然学校が始まり、自然の中で共に活動することによって、子供達を精神的に自立させ、実践的に環境教育を行なっています。近年、日本でも環境教育の重要性が認識され、植物や動物を育て、身近な自然を観察するなど、自然と接する機会を増やすことによって情緒豊かな子供達を育て、環境保全の思想を普及させようという動きが盛んになってきました。
その一つが、野外活動を通じて自然に親しむ「自然学校」です。子供や保護者に豊かな自然体験活動を提供し、生態系の営みを学んだり情緒教育の手がかりにする組織で、全国に200ヶ所近くあるといわれています。しかし、プロとして自然との接し方を教えられる指導者は少なく、実践的な力を発揮できる人材の育成が急務です。
また、自然学校とまではいかなくとも、普段の生活で植物や昆虫を育て、花を楽しむということも立派な自然体験ということができますが、ここでも植物の育て方や花・緑の楽しみ方を人々に伝えることのできる人材が求められています。

屋上緑化、環境緑化
ヒートアイランド現象。ここ数年、東京都心部を始め、日本各地の都市部では真夏の酷暑が普通のこととなり、さながら熱帯・亜熱帯地方を思わせる天気が続きます。また、冬も以前ほどに気温が下がることなく、時には春先の花が12月や1月に咲いたりしています。
都市部のこうした異常高温・異常気象を緩和する方策として都市緑化の重要性が再認識され、特にビルの屋上を緑化する方法がガゼン注目を集めてきています。
東京に限ってみると、区部にあるビルの約半数の屋上を緑化することで、真夏の最高気温の平均が3〜4℃下がるというデータも示されています。今、こうした環境との共生を目指した都市造りが具体的に動き出していますが、従来の造園や土木技術に加えて、屋上緑化という特殊で過酷な条件での植栽方法や植物の選定などに問題が多く、専門的な技術者が不足しています。
こうした技術を身に付けた人が増え、また、屋上の緑化に理解を示す人が増えることで、コンクリートとアスファルトで固められた都市が、緑豊かな環境都市に代わっていくでしょう。

栽培技術の海外移転
最近では花が様々な場面で使われるようになり、それに伴って高級な花と、比較的安価で品質の良い花の二極分化が進んできています。現在のところは国内の生産者が担っているこれらの花の生産は、今後急速に、高級な花は国内で、安くても一定以上の品質を持った花は国外、特に近隣のアジア各国で生産されるように棲み分けがなされるでしょう。
このとき、品質に対する日本人の厳しい要求を満たすものを作り出すためには、日本人のきめ細かくこだわりを持った栽培・生産技術を海外で指導することが必要になってきます。
韓国や中国を始めとするこうした花の生産基地に出向いて、しっかりとした栽培指導、品質管理ができる人材に求められる資質は、花・緑の生産・栽培方法のみならず、輸出などの流通業務や新品種導入にかかわる将来予測ができるだけの知見、現地スタッフをしっかりと指導できる人間性などでしょう。こうした人材が増えていくことで、日本の花文化がアジアの一員としての花文化となっていくことでしょう。

熱帯植物・食虫植物・山野草
ここ数年注目を集めているガーデニングでは、ヨーロッパ原産の植物が使われることが多く、必ずしも日本の気候風土に適していませんでした。そのために、湿度の高い日本の夏には多くの植物が元気を失い、枯れてしまうことも珍しくはありません。この様な弊害をなくし、夏の花壇でも元気な姿を楽しむために、最近では東南アジアの植物が積極的に導入されるようになってきました。
また、趣味としての園芸の幅が広がってきたことにより、単に花の姿を楽しむだけでなく、一風変わった植物や趣きのある植物が求められ、食虫植物や山野草、水生植物などに人気が出てきています。
いずれにせよ、今後の園芸業界においては、園芸を楽しむ人の興味の範囲が多方面に広がることによって、そこで働く人たちはよりいっそう広い範囲の知識と先見性が求められてくるでしょう。

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