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森と湖の国フィンランド

第17回 原生自然環境保全地域
 第4回でご紹介した国立公園のほかに、フィンランド国内には現在19ヵ所に原生自然環境保全地域が設けられていて、現在すべてフォレスト・パーク・サービス(林野庁)の所管です。

 原生自然環境保全地域の総面積は1536km²を占めています。フィンランドの原生自然環境保全地域では、国がその土地を全面的に所有していて、大規模な宿泊・スポーツ娯楽施設などは区域内に全く設置されていません。

カルカリ原生自然環境保全地域
長さ約6kmのトレイルを一周すると、シナノキ、カエデ、ヤマナラシ、シラカバ、ハシバミなどの広葉樹をあちこちで観察することができる
 原生自然環境保全地域は地域全体にわたって自然の宝庫とも言える場所で、学術研究目的として原生な自然状態を保護するためにあらゆる行為が規制されています。
 トレイルが設置されている8ヵ所を除いては、原則として一般の立入りを制限しています。トレイルが設置されている場合でも、トレイルから外れることはできません。ただし、積雪期にはスキーを履いて例外的にトレイル以外の場所にも入っていくことができます。
 国立公園では一部の立入り制限地区を除いて一般のベリー摘みやキノコ狩りが自由にできますが、原生自然環境保全地域ではこれらの行為も固く禁止されています。北部の広大な原生自然環境保全地域では、慣行的に行われてきた地元住民の自然と密着した産業活動(トナカイ飼育、狩猟、漁業等)は例外的に認められています。

 ここではトレイルが設置され、一般の立入りが部分的に認められている、フィンランドの北端と南端に位置する2ヵ所の原生自然環境保全地域の写真を掲載します。

カルカリ原生自然環境保全地域(5月に撮影)
・設立 1964年
・管轄 フォレスト・パーク・サービス(林野庁)
・面積 1km²
 一周約6kmのトレイルが設置されています。南部、ロホヤ湖に突き出ているカルカリ半島の先端にあります。
 適潤で富栄養性の土壌には、トウヒ林に混じって、シナノキ、カエデ、ヤマナラシ、シラカバ、ナラ、ハシバミ、ハンノキ、トネリコ、ナナカマドを主体とする広葉樹がたくさん生えています。
 また、林床には国内でも珍しい下層植生が多く見られます。



シナノキ(Tilia cordata)の新緑

セイヨウハシバミ林(Corylus avellana)の新緑

白花のヤブイチゲ(Anemone nemorosa)と
黄花のアネモネ・ラヌンクロイデス(Anemone ranunculoides)

古株に開花したコミヤマカタバミ
(Oxalis acetosella)


ケヴォ原生自然環境保全地域(6月に撮影)
・設立 1956年
・管轄 フォレスト・パーク・サービス(林野庁)
・面積 712km² (原生自然環境保全地域中最大規模)
 峡谷を縦断する長さ63kmのトレイルのほかに、一周55kmのトレイルも設置されています。
 長さ40km以上にわたるケヴォ河の深い峡谷美、ツンドラ地帯を連想させる湿原、湖沼、サンガクカンバ林、高山植物等を特徴としています。
 夏場でも降雪や積雪を見ることがあります。核心部の自然を探索するためには十分な経験とそれ相応の装備が必要です。



ガンコウランの老樹と地衣類のハナゴケ

湿原とサンガクカンバの疎林

ケヴォ河峡谷

ケヴォ河と河畔林

原生自然環境保全地域マップ

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