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森と湖の国フィンランド

第25回 オーランド諸島のスプリング・エフェメラル 3
スプリング・エフェメラル(春の儚い命と呼ばれる植物)の開花時期にあわせて、2005年5月13日から15日かけて2泊3日の日程でオーランド諸島に滞在しました。今回はオーランド諸島のスプリング・エフェメラルについてお話しします。

周りをバルト海に囲まれているオーランド諸島は海洋気候の影響を受けて、フィンランド本土と比べて温和な気候に恵まれています。2月と7月の平均気温はそれぞれ−4℃と15℃となっています。フィンランド本土やスウェーデン本土の同緯度の場所と比較して、春の到来は少し遅くなりますが、逆に秋は暖かい陽気が長く続きます。

オーランド諸島のほとんどの岩石は約16億年前に形成された赤みを帯びた赤御影石からなっています。石灰分を豊富に含む場所には塩基性土壌を好むラン科植物などがたくさん自生しています。こうしたラン科植物の中で一番よく知られているのが花茎20〜30cmのダクティロリーザ・サンブキナです。花色は2種類あって、現地では赤花はアダム、黄花はエヴァと呼ばれています。


Dactylorhiza sambucinaとOrchis mascula
ラン科ダクティロリーザ属
ダクティロリーザ・サンブキナ(左)
ラン科ハクサンチドリ属
オルキス・マスクラ(右)

(ノト自然保護区)



Dactylorhiza sambucina
ラン科ダクティロリーザ属
ダクティロリーザ・サンブキナ赤花

(ノト自然保護区)



Dactylorhiza sambucina
ラン科ダクティロリーザ属
ダクティロリーザ・サンブキナ黄花

(ノト自然保護区)


オーランド諸島も前回御紹介したタンミサーリのハーゲン・ラムスホルメーン・ヒョークホルメーン自然保護林と同様に、ナラを標徴種とする中欧の落葉広葉樹林帯に属します。適潤で富栄養性の土壌には、トウヒやマツなどの針葉樹に混じって、トネリコ、シラカバ、ハンノキ、ナナカマド、エゾノウワミズザクラ、野生のリンゴ、ハシバミ、ナラ、ニレ、シナノキ、カエデ、サンザシを主体とする落葉広葉樹がたくさん生えています。また、林床には25種にも及ぶラン科植物を始めフィンランド国内でも非常に珍しい下層植生がよく発達しています。ヨーロッパイチイやユリ科バイモ属フリチラリア・メレアグリスはフィンランド国内ではオーランド諸島だけに自生しています。



Betula pendula
梢端を切り取られたため分枝した
シダレカンバ

(ノト自然保護区)



Alnus glutinosa
ハンノキの雄花
(ノト自然保護区)



Sorbus aucupariaとJuniperus communis
セイヨウナナカマドとネズノキ
(ヘッロスカタン自然保護区)



Crataegus monogyna
セイヨウサンザシ
(ノト自然保護区)



Fritillaria meleagris
ユリ科バイモ属
フリチラリア・メレアグリス

(栽培品)

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