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森と湖の国フィンランド

第25回 オーランド諸島のスプリング・エフェメラル 8
適潤で富栄養性のため植生が豊かな草原は19世紀頃まではオーランド諸島ではどこでも見かけるごく普通の風景でした。ところが20世紀に入り農牧畜業の近代化に伴って、こうした伝統的な草原はほとんど手入れされることなく放置されたために、トウヒや広葉樹が繁茂して下層植生は次第に貧弱化していきました。

現在自然保護区に指定されている数ヵ所の場所では、昔ながらの手入れを入念におこなってきています。手入れとしては、7月に伝統的な方法で下草刈りを行ないます。梢端を切り取られたトネリコやシラカバの古木が目に付きます。これは昔から冬場の家畜の飼料にするために、梢端を一定の高さで切断して分枝を促し、7月頃に若枝を切り取ってきた名残です。必要に応じて、雑木の間引き、枯死木の除去、落ち葉かき、火入れ、家畜の林内放牧などの作業も行なわれることがあります。

足の踏み場もないほどぎっしりと密生して群生するスプリング・エフェメラルを始めとする野草の数々。ヤブイチゲの白花、アネモネ・ラヌンクロイデスの黄花、ヒメリュウキンカの黄花、キバナノアマナの黄花、ユキワリソウの青花、コリダリス・ソリダの赤紫花がモザイク状に程よく調和して咲いている光景には、しばしうっとりとしてただただ見とれてしまいます。絨毯のようにあたり一面を隈なく覆う花園は何といっても感動的で、とても地上のものとは思えないほどの素晴らしさです。


Anemone ranunculoidesとAnemone nemorosa
キンポウゲ科イチリンソウ属
アネモネ・ラヌンクロイデス黄花
キンポウゲ科イチリンソウ属
ヤブイチゲ白花
(ラムスホルメン自然保護区)



林床を覆い尽くすヤブイチゲ白花と
アネモネ・ラヌンクロイデス黄花
(ラムスホルメン自然保護区)



ヤブイチゲ白花とアネモネ・ラヌンクロイデス黄花が織り成すモザイク模様
(ラムスホルメン自然保護区)


ユリ科ネギ属アリウム・ウルシヌム、ユリ科ツクバネソウ属パリス・クアドリフォリア、アブラナ科デンタリア属デンタリア・ブルビフェラなどが自分の出番を待つかのように蕾を膨らませていたり、マメ科レンリソウ属ラテュルス・ベルヌスがちょうど咲き始めていたりしました。


Allium ursinum
ユリ科ネギ属
アリウム・ウルシヌム
(ラムスホルメン自然保護区)



Allium schoenoprasum
ユリ科ネギ属アサツキの仲間
(ノト自然保護区)



Paris quadrifolia
ユリ科ツクバネソウ属
パリス・クアドリフォリア
(ラムスホルメン自然保護区)



Dentaria bulbifera
アブラナ科デンタリア属
デンタリア・ブルビフェラ
(ラムスホルメン自然保護区)



Lathyrus vernus
マメ科レンリソウ属
ラテュルス・ベルヌス
(ラムスホルメン自然保護区)

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