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森と湖の国フィンランド・ガーデニング奮闘記

第12回 バラ特集
6月中下旬になって初夏咲きチューリップの開花期が終わると、バラを中心とする夏花壇の花が一斉に咲き始めます。花壇のバラは四季咲き種がほとんどなので、秋に霜が降りるまで長い期間花を楽しむことができますし、その上品種によっては秋から冬にかけて真っ赤な果実(偽果)を観賞することができます。


原種系・自生種「ロサ・マヤリス」
[学名]Rosa majalis
 日本にはノイバラ、タカネバラ、サンショウバラ、ハマナスなど十数種が野生していますが、フィンランドには6種類のバラが自生しています。当地に自生しているのは、ロサ・マヤリス、ロサ・アキクラリス(オオタカネバラ)、ロサ・ドュマリスなどが代表的なものです。このうち、ほぼ全国的に分布しているのはロサ・マヤリスに限られます。


原種・ピンピネリフォリア系統「プレナ」
[学名]Rosa pimpinellifolia‘Plena’
 フィンランドの農村部で古くから植栽されてきたのは、自生種の一部やピンピネリフォリア系統、ガリカ系統、グラウカ系統などでした。しかし、最近では都市部を中心にルゴサ系統の園芸種が公園や道路沿いに群植されることが多くなりました。1990年代初めからヘルシンキ大学農林学部育種学科附属ヴィーッキ圃場では、北国の厳しい気候に合ったバラの選抜、品種改良事業が行われています。


3月上旬、ヘルシンキ近郊の園芸専門店の店頭に並ぶ
国産の切花のバラ(中下段)と輸入品(上段)
 温室栽培のバラは、国内で切花として年間約8000万本、鉢物も年間120万鉢程度生産されています。切花専用の温室面積は全国で併せて37ha、そのうち国内東南部にあるバラ栽培業者は、北欧最大、ヨーロッパでも有数の規模を誇り、広さ4haの温室で年間1000万本、約45種類のバラを主としてフィンランド国内市場向けに生産・出荷しています。
 1995年のフィンランドのEU加盟にもかかわらず、品質管理の強化と栽培方法の創意工夫により、現在でもバラの国内自給率は80%近くを維持しています。輸入品はほとんどがオランダやベルギーから入ってきます。


国産の切花のバラ
 普通、単色か混色で、奇数本、10本、または20本の束のブーケとして販売されます。伝統的な人気色は濃赤色とピンク色で、この2色だけで販売量のほぼ80%を占めています。

 他の園芸植物の切花と比べると、年間を通じて販売量にはっきりとした変動は見られません。
あえてハイシーズンと言えば5月で、母の日に贈る鉢物のミニチュアローズと高校卒業認定試験兼大学入学受験資格試験の合格者に贈る切花のバラになります。
高校卒業認定試験に合格した姉妹
純白色のバラのブーケ(姉)
高校卒業認定試験に合格した姉妹
オレンジピンク色のバラのブーケ(妹)



7月中旬の南向き庭の一画
ハイブリッド・ティー2種とスイトピーとキク科の一年草
 エスポー市内の自宅の庭では、1997年に芝生の植付けとともに、造園業者によって垣根やボーダー用にルゴサ系統やガリカ系統のバラが植栽されました。1999年以降、植栽計画に基づいて自分でハイブリッド・ティーやモダンローズの園芸品種の苗木を順次植栽していきました。原則として日向を好むものが多いので、配色を考慮してすべて南向き庭に植え込んであります。


7月中旬の南向き庭の一画
カーアン・ブリクセンの白花とサルビア・ビリディスの紫色の苞葉
 一般的な管理としては、剪定のほかに季節に応じてバランスのとれた施肥・追肥、潅水と、ハイブリッド・ティーやモダンローズでは花がら摘みと見事な花を咲かせるために摘花を怠らないことが必要です。さらに初夏に大発生しやすいアブラムシの防除と、品種によっては真夏から秋にかけてうどん粉病と黒点病の予防と治療が必要です。


3月下旬の南向き庭の一画
防寒対策に株の周りを特殊加工されたピートモスとバークで覆ってある
 フィンランドでハイブリッド・ティーやモダンローズを栽培するには、根本的な防寒対策と水捌けを良くすることが肝要です。植栽時に接木の接ぎ口を寒さから保護するため、地表から少なくとも10〜15cmの深さに埋め込むことが大切です。
また、雪解け時の滞水防止のため、植栽地周辺をレイズドベッドにするか、そこに傾斜を設けるかして、ともかく排水を良くする工夫をしています。秋にはまず株を短く切り詰めておき、気温が連日零度以下になってきてから、水を弾くよう特殊加工されたピートモスを株の周りに厚く敷詰め、さらにその上をバークで覆っています。

 【参考サイト】フィンランドバラ協会

バラ特集
HT / モダンローズ 原種系 / オールドローズ

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