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中南米植物紀行

第3回 ダリア物語

ダリアの歴史
 菊科に属するメキシコの国花ダリアの原産地は、現在のメキシコから中米、南米にかけての地域と言われています。いずれも緯度的には熱帯或いは亜熱帯の地域が多いので夏の植物だったっけ?と一瞬勘違いしそうですが、日本では一般には秋の植物として知られていますし、国内の観光ダリア園はその多くが比較的寒冷な地域にあります。

中米諸国と並ぶダリア原産国の一つで、ダリアを国花にしているメキシコの中央高原にはダリア同様多くの文明が花開いた。テオティワカン遺跡。
 実はこれらメキシコ、中米、南米の原産地をもう少し注意深く見てみると、いずれも高度が500m前後から3,500m前後の高地なのです。そしてそれらの地域に共通しているのは、夏は涼しく日当たりが良く水はけや風通しの良い所という点です。
 ダリアと聞くと昔ほど庭先で見なくなったと思われる方がいらっしゃると思います。事実、以前はどこの家でもダリアを育てた経験があるのではないでしょうか。ダリアの栽培が下火になった原因としては、花の種類が年々増えて選択の巾が広がり昔のように目立たなくなったということもあるでしょう。しかし最大の理由は、夏が高温多湿の日本では栽培しても咲いた花が長期間美しさを保つことができないということではないでしょうか。しかし、短期間であってもそのバリエーションの豊かさや存在感はたいしたものだと思います。


中米ホンジュラスの代表的マヤ遺跡コパンの石碑H(BIZEN中南米美術館正面:レプリカ)を取り囲むように咲いた皇帝ダリア。
 なお現在世界中には2万種類とも言われるダリアの品種がありますが、その内原種は30種類強と考えられ、日本で見られる原種はその内の6種類です。
 私どもの美術館では昨年その内のひとつで主にメキシコや中米で見られる皇帝ダリアを3株育てましたが、4m近い背丈とたわわになる薄紫の見事な花がすばらしく、11月下旬から12月初旬にかけてマスコミの取材や見学者が絶えませんでした。
 ちなみに、スペイン人の新大陸侵略後ヨーロッパ人の知るところとなったダリアに関する情報は16世紀の半ばにスペイン王室に伝えられ、その内容は17世紀半ばにイタリアでも出版されました。実物が公式にヨーロッパ(スペイン)に伝えられたのは18世紀初頭で、当初はダリアの芋を食料として研究する目的で研究されたそうです。19世紀以降ダリアの存在はヨーロッパ各地に広がり、品種改良も比較的容易だったため多くの品種が世界に広がって行きました。日本には1841年に渡来したとされています。

ダリアってこんなに素敵

4mを越そうかという皇帝ダリアには大人の手のひら大で、品の良い薄紫色の花が次々に咲く。皇帝の名に恥じない威厳を持ったダリアである。
 ダリア育成の楽しさはなんといってもその多様性ではないでしょうか。花型だけでも、シングル咲、アネモネ咲、ボンボン咲、ボール咲、バラ咲、セミカクタス咲、ストレートカクタス咲、インカーブドカクタス咲、各カクタスのフリル咲、フォーマルデコラ咲、インフォーマルデコラ咲、水連咲、菊咲、オーキッド咲、アネモネ咲、コラレット咲など数多くのバリエーションがあります。
 さきほどの皇帝ダリアの4m前後を最高にチェリーなどの小振りなものまでその背丈も様々で、花の大きさも10cm以下径から30cm以上径のものまで揃っています。

 ヨーロッパでは当初その芋が研究対象になったとお話ししましたが、実際メキシコや中米では古来その芋が食されていました。近年の研究で、新大陸原産で同じく菊科の菊芋と同じくイヌリンという物質が豊富に含まれていることが分かって来ました。イヌリンは、多糖類(水溶性植物繊維)であり、血糖値上昇抑制作用、血中コレステロール低下作用、整腸作用、ミネラル吸収促進などの機能が研究報告されている物質です。

そんなダリアたちに出会うには

日本国内最大級の秋田国際ダリア園。ダリアの故郷中米・メキシコの高原地帯に似た気候がダリアの生育には向いている。
 ダリアを栽培しようと思えば日本でも多くの品種を入手することが出来ます。日本を代表するダリア栽培業者である秋田県の秋田国際ダリア園(旧雄和国際ダリア園)をはじめとするダリア専門の業者さんからも芋を購入することが出来ますし、ネット上でも購入が可能です。近年の人気で前述の皇帝ダリアも入手しやすくなってきましたが、マンションのベランダや狭い庭、日当たりの悪い庭、夜も煌々と明かりの点いている場所では栽培できないと思いますのでご注意を。
 自分で育てる前にいろんな品種が咲いているのを見てからという方は上記の秋田国際ダリア園をはじめとする全国のダリア園を訪れてみてはいかがでしょうか。勿論そうした場所でも芋を購入できます。
 なお、イヌリンが豊富なダリアの芋を食用として・・・というのはヨーロッパや日本の一部でも試みが始まっているようですが、これはまだまだ一般的ではないようです。

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