調香師の香り紀行「マダガスカル」 home
文・写真 島崎直樹
フランス調香師協会の「香りの道」
マダガスカル旅行に参加して
「香料」第205号(2000.3)別冊

第二回  マダガスカルへ

● 9月22日
 夜の9時過ぎにシャルル・ドゴール空港を離陸。マダガスカルの首都アンタナナリボへの直行便である。航空会社はエアーマダガスカルで機種はエアーバス。初めて話をしたマダガスカル人達は小柄で微笑みを絶やさず親切で、機内での第一印象はすこぶる良かった。フライト時間は12時間、日本からパリまでとほとんど同じで、とにかく遠い国である。フランスとの時差は1時間で、マダガスカルの方が早い。
 マダガスカル島はアフリカ大陸の東にあり、モザンビーク海峡をはさんでインド洋の西端に浮かぶ。1896年以来フランス領となり1980年に独立し、現在人口約1400万で正式国名はマダガスカル共和国。


● 9月23日
 首都アンタナナリボ(Antananarivo)に朝の8時に到着。タラップを降りると標高が1200メートルもあり、爽やかで気持ちが良い風が吹いているが、強烈な太陽が肌を焼く。空港での入国管理は途上国のほとんどが同じで、滞在期間や入国目的を詳細に聞かれる。何より驚いたのは、審査官がそれまでフランス語で聞いていたのにパスポートにスタンプを押して返しながら、英語でチップをくれないか、フランスフランで10フランとまで囁いた。次は荷物検査。私の旅行の目的のほとんどは香料植物の写真を撮ることだったのでフイルムを100本程持っていった。カメラ器材は前もってリストを作り提出したがフイルムは多すぎると指摘されたが、擦った揉んだのあげくに許可してくれた。
 ポーターがマイクロバスの屋根に我々のスーツケースを上手に乗せ、市内のホテルまで約一時間。水田風景が広がり市街に近づくにつれ赤茶けた土とそれで作った煉瓦の家が並び沢山の人が歩いている。道端で牛を解体していたり、お世辞にも清潔とはいえないが、活気があり生き生きとした町である。ホテルはヒルトンで、私がパリで泊まっていたのより何倍も清潔で完備されていたので拍子抜けしてしまった。ただ浴槽にお湯を張ると濁っているので、ああここはマダガスカルなのだと実感する。洗面台にはペットボトルのミネラルウオーターが置かれていた。ミネラルウオーターは安く2リットル入りが50円位で売っていてマダガスカル滞在中、歯磨きや洗顔にも使用した。一休みした後、マダガスカルの天然精油生産者(SYPEAM)主催の歓迎会が市内のフランス人宅であり、ミュージシャンがのどかに音楽を奏でる中庭でマダガスカル料理をいただいた。
 フランス大使館からも出席してなかなかの賑わいであった。夜はホテルでSYPEAMとフランス調香師協会(SFP)のシンポジウムが行われ、この国に於ける精油生産の歴史や現状の説明があり、フランス側からは精油の安定供給を望む声などが出た。
 その晩ニューヨークからロンドンそしてヨハネスブルグからマダガスカルのアンタナナリボと30時間以上かけて到着したアメリカ人女性が我々の旅行に参加し総勢26名となった。

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