調香師の香り紀行「マダガスカル」 home

文・写真 島崎直樹
フランス調香師協会の「香りの道」
マダガスカル旅行に参加して
「香料」第205号(2000.3)別冊

第九回  旅のおわり

● 10月2日
 午前中、市内の市場へ買い物へ行く。ガイドブックに治安が悪いので気をつけるよう書いてあったが敢えてカメラ持参でいった。マーケットの入口で3〜4人ずつのグループになり、それぞれに警棒を持ったガードマンが付き散策をするが、そのガードマンのほうが市場の商人達よりよっぽど恐く感じた。
 この旅行中、一度も恐い思いをしたことがなく旅行案内に書いてあるような事は全くなかった。市場の人々はニコニコしながら接客する。化石や蝶の標本、美しく刺繍を施したテーブルクロスなどを並べた観光客目当ての店と、干し魚やスパイスを売る食料品店、生きたままの七面鳥や鴨を売る人、何に使うのか分からない薬草を並べた店など迷路のような路地にひしめきあっている。
 私はパリサンダという美しい木で出来たバニラビーンズを入れておく小箱を買った。店の言い値は80000FMgである。同行のフランス人女性が言い値で絶対に買ってはだめ、私も欲しいから2つまとめて値切り交渉するからと言い出し任せるとなんと20000FMg日本円で約350円になってしまった。一種のゲームをしている感覚である。
 夜の9時発の飛行機で、楽しかったマダガスカル滞在を終え一路パリへ。

● 10月3日
 日曜日の朝パリ着。気温の変化にビックリしながらも皆無事に帰国。再会を誓い空港で解散した。
 フランス調香師協会の役員がこの旅行のために前もって似たルートを体験し、非常に緻密に計画されていた旅行であった。お陰で得るものが多かったが、多少詰め込みすぎでスケジュールがきつく肉体的にはとてもハードであった。旅行があと数日長かったら私の体力では続けられなかったのかもしれないが、個人でマダガスカルへ来るのは困難で、もし来たとしても観光地でもない香料植物の畑や蒸留工場は見ることは出来なかったので、参加して良かったと思っている。旅行を企画実行してくれたフランス調香師協会に心から感謝したい。
 そしてなにより嬉しいのはマダガスカル人の優しさと美しい笑顔を知ったことで、私の大好きな国がもう一つ増えた。
 それに楽しみなのはマダガスカルの写真展をフランス調香師協会主催で、ブルレ氏(Brulé)、ルドニッカ氏(Roudnitska)と私が三人展として、2000年9月にパリ開催することである。(※)

 これで天然香料の産地見学会に10年前のブルガリア、3年前のモロッコ(イギリス調香師協会による)と今回のマダガスカルと3回参加し、趣味で撮り続けた香料植物の写真も南仏グラースのも入れるとだいぶたまったので、拙文を添え一般消費者に香りに親しんでもらう為の「写真で見る香りの本」にしたいと思っている。
 来世紀へ向けての私の夢である。

※2000年10月パリで開催された。

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